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「おっはよ~!チィはこっちにいる?」
お腹がいっぱいになった頃、虎子ちゃんが元気良くドアを開けて入ってきた。
手には何やら紙袋を携えている。
「何だ虎子、また今日も来たのかよ……」
彼女の姿を見るなり悪態を吐く虎汰。
けれどいつものことなのか虎子ちゃんは見事にそれをスルーし、私の元に駆け寄ってきてくれた。
「おはよ、チィ♪煌騎くんに頼まれたもの持ってきたけど、サイズ合うかなぁ……。後で合わせてみようね?」
「……?う、うん」
私は何のことかわからなかったが、煌騎が頼んで用意してくれたものならと素直にそれに頷いた。
すると和之さんが時計に目をやり、そろそろ時間だと彼に知らせる。
煌騎はそれに頷くとナイフとフォークを静かに置き、ガタッと椅子を退いてゆっくり私に向き直った。
「チィ、今から人が来る。と言ってもお前の怪我を治療した男だ、心配ない」
その言葉に一瞬だけ目を見開いたが、再度コクンと頷く。
直ぐにそれが誰なのかがわかったからだ。
昨日、流星くんや虎汰、虎子ちゃんが説明してくれた『健吾』さんというお医者さんが来るのだろう。
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