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おそらく私を驚かせないよう和之さんは前もって時間を知らせ、煌騎も細心の注意を払って丁寧に教えてくれたのに違いない。
二人のさりげない気配りに感謝した。
きっと何も知らずにいきなり訪ねて来られたら、私はパニックを起こしていたかもしれない。
「昨日も言ったと思うけど、良い奴だから安心しろ♪」
そう流星くんが付け加え、虎汰も朔夜さんも穏やかに笑って私を見つめる。
それに応えるように微笑み返し、また頷いた。
それを見届けた煌騎は重い腰を上げる。
「よし、じゃあ隣りで待つか……」
彼の一声で皆が一斉に立ち上がり、ゾロゾロと移動を始めた。
私も席を立つと煌騎と並んで部屋を後にしようとする。
けれど虎子ちゃんがツツ~ッと横にきて私の腕を取った。
何かと思ってそちらを見ると、彼女はニッコリ笑って耳打ちする。
「昨日の夜はぐっすり眠れた?」
「―――うんっ♪」
その問いに笑顔で応え、あれから一度も起きる事なく朝を迎えたことを伝えると、虎子ちゃんは自分のことのように安堵して喜んでくれた。
昨日は女の子に囲まれたり、チームの話を聞いたりしたので色々と気に掛けてくれていたようだ。
思えば彼女にはお世話になりっぱなしのような気がする。
ちゃんと改めてお礼を言わねばと口を開きかけるが、それを予測した虎子ちゃんに止められた。
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