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虎子ちゃんと手を繋いで隣りに戻ると、何故か虎汰と流星くんがぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。
彼らは口々に“チィを返せ”だの“一人占め反対ッ!!”だのと喚いていた。
昨日も確か似たセリフを聞いたような気がして思わず笑みが零れる。
ソファに座ってPCを操作していた朔夜さんはクスリと笑い、“お前らは小学生のガキかよ”と半ば呆れていた。
煌騎の方を見ると彼は和之さんと大事な話の真っ最中らしく、こちらを見て笑ってはくれるが間に入っていけそうな雰囲気ではない。
所在なく佇んでいると虎子ちゃんに手を引かれ、虎汰たちが座るソファの前に連れていかれた。
「どっちか席を譲りなさいよ。私とチィが座れないじゃない!」
「何でお前に席を譲らなきゃなんねーんだよ!座るなら虎子だけ向こうに座ればいいだろっ!! 」
「チィ、ホラこっち座れよ♪」
上から目線で言う虎子ちゃんに、ちょっとキレ気味の虎汰が反発する。
それをムシして流星くんは私に手を差しのべ、自分の横に座らせようとした。
だけどその手を虎子ちゃんは容赦なく叩き落とす。
「チィと私は一心同体なの!一緒にいなきゃいけないの!男のクセに席くらいでガタガタ言わないでよっ!! 」
もはや意味不明なことを言い出した彼女は、有無を言わさず無理やり虎汰を立たせると透かさず真ん中に自分、その横に私を座らせたのだった。
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