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流星くんたちは茫然と立ち尽くす。
どうやら思い当たる節があるらしく、彼らは渋い顔をして黙り込んだ。
「二人がそれ程バカじゃなくて助かったよ。まぁ、立ち話も何だし虎汰…それから健吾さんも、とりあえず座ったら?」
静かになった二人に辛口の嫌味を零しながら、朔夜さんはさりげなく“健吾さん”に自分の隣りに座るよう薦めた。
口数の少ない彼が今日はやけに多く喋る。
それを見ていた私は唖然としてしまう。
もしかしたら影のリーダーは彼なんじゃないかと思ってしまったくらいだ。
すると隣りの虎子ちゃんがこっそり“あの二人、口では朔夜くんに絶対勝てないから逆らえないの”と教えてくれた。
成る程と納得していると、皆が座り始めて席が足りないことに気づく。
どうするのか見ていたら、一人掛けソファに座る煌騎が私に手招きした。
なんだろうと首を傾げつつも彼の傍に駆け寄ると、徐に私を抱き上げて自身の膝の上にちょこんと座らせる。
あまりに早業すぎて抵抗する暇もなかった。
けれど既に“ココ”が私の定位置のような気がして、大人しくされるがままになる。
「………へぇ、随分と手懐けたな」
朔夜さんの隣りに腰を落ち着けた“健吾さん”が、感心したようにこちらを見て目を細めた。
その彼の眼差しは何故か慈愛に満ち溢れている。
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