1036人が本棚に入れています
本棚に追加
.
でも次の瞬間、二人の頭に虎子ちゃんの鉄拳が飛んだ。
「あんたたちのその気の短さが問題だって言ってんでしょっ!ホント、バッカじゃないっ!?」
呆れたようにそう言うと、腕を組んで両隣りの二人を交互に睨みつける。
叩かれた流星くんや虎汰は頭を擦りながらも、己の失態に気付いたのかシュンとなった。
だけど一度火が付いた彼女のお説教モードはそれだけで止まらない。
「大体ねぇ、あんたたちはいつも……」
日頃から感じていた不満をマシンガンの如く二人にぶつけ始める。
このままでは虎汰たちが可哀想だと思ったのか、和之さんがさりげなく間に入った。
「まぁまぁ、虎子ちゃんもそれくらいにしてあげてよ。そいつら、落ち込み出すとウザいからさ♪」
そう言って彼女を宥めた和之さんの手には、人数分のコーヒーカップが乗ったトレイがあった。
姿が一瞬見えないなと思っていたら、彼は皆の飲み物を用意しに席を立っていたらしい。
「もう!和之さんが甘やかすからこいつら調子に乗るんですよ?」
「はい、虎子ちゃん♪ちょっと熱いから気をつけて?」
まだ言い足りないのか虎子ちゃんは口を尖らせたが、和之さんに笑顔でコーヒーを差し出されて仕方なく言葉を噤む。
.
最初のコメントを投稿しよう!