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「さて、皆が冷静になった所でちょっと話を整理しようか。気になる点が幾つかあるようだし……?」
席に戻るなり和之さんが口を開く。
表情も私に向けてくれた先程のものとは違って真剣そのものだった。
見渡せば皆も彼同様にマグをテーブルに置き、静かに聞く態勢に入っている。
やはり彼を含め、ここにいる皆は大きなチームの上に立つ人たちなんだなと、あまりの切り替えの早さに私は改めて思った。
「健吾さん、貴方もチィのことを御存じだったんですね?」
和之さんの静かな問いに、彼は少し困った顔をした。
だが肯定も否定もしない。ただ哀しそうな顔で私を見ていた。
「テメェ!答えないつもりかよっ!!」
「待て、流星!直ぐにカッカするなっ!!」
「痛てて……っ!? 」
痺れを切らした流星くんが立ち上がり彼に詰め寄ろうとしたが、寸での所で和之さんが止めに入る。
けれど何故か止められた流星くんからは悲鳴に似た呻き声が聞こえた。
どうやら私からは見えなかったが、彼は腕を捻り上げられているようだ。
温厚そうに見えて実は和之さんもかなりの武闘派なのかもしれない。
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