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どうやら俺が話すと言ったことに対して驚いているようだった。
心外だと内心怒ってはみたものの、思い返せば付き合いが長い割に今まで何一つこいつらに話してこなかったように思う。
誰が欠けても後悔が残る大事な仲間なだけに、これではいけないのかもしれないと思い直しつつ、再び口を開いた。
「今回の件、ワケあって鷲塚組は関与させない。全てここにいる俺たちだけで動く事になるだろう」
「へぇ、面白そうじゃん♪」
虎汰がそう言ってニヤリと笑った。
見ると流星も和之も、それにあの冷静沈着な朔夜でさえも不敵に笑んでいる。
「なんだ、俺たちの本来の力が発揮できるチャンスじゃんか♪」
「……だな」
「鷲塚組なんて寧ろいらないよっ♪」
「あぁ!俺たちの“最強伝説”を創ってやろうぜッ!! 」
ワクワクしたような眼差しで流星が言い、和之も虎汰も賛同して興奮気味に声を張り上げる。
朔夜は終始無言だったが、その瞳には静かなる闘志が宿っていた。
皆まるで暴走前夜の高揚したノリだな。
夕べ喫茶店で和之の報告を聞き、大まかな事の背景はこいつらも認識しているハズなのに、怯むどころか挑むつもりでいやがる。
本当に頼もしい連中だ。
口角を少し上げて目を細めると、それを俺の承諾が得られたと捉えた流星たちが歓声を上げた。
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