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けれど虎汰が気にしなくていいって言うからそっとして置いた。
ホントは虎子ちゃんに学校で使うカワイイ筆記用具をプレゼントされて、そちらに気が削がれちゃったというのもあるんだけど……。
―――昨日はちょっと浮かれすぎちゃったかな?
とにかく今日から私は健吾さんの遠い親戚、“茨(イバラ) チィ”として生きることになる。
転校手続きも彼が全てしてくれた。
なんでも知り合いが理事長を務めているとかで、いろいろ無理を聞いて貰ったらしい。
今の“私”がいるのは本当に皆のお蔭だなと思った。
「なにをそんな幸せそうに笑ってる?…ちょっとその幸せ…俺にも分けてくれよ……」
「―――えっ!?、」
腕の中でニタニタしていると、いつの間に目を覚ましたのか煌騎がこちらを見下ろしていた。
その口許には微かに笑みが……。
どうやら先ほどから私が一人、昨日のことを思い出しては青くなったりクスクス笑ったりして、忙しなく百面相しているのを見ていたようだ。
急に恥ずかしくなって私は慌てて俯く。
「煌騎、ズルいッ!! 見てたなら教えてよぉ」
「ハハ、邪魔しちゃ悪いかと思ってな……」
仕返しにパタパタと胸を叩くが、彼はビクともしないし悪ぶれることなく平然とそう言ってのける。
ぷうっと頬を膨らませたらぎゅ~っと抱き締められ、幼子にするように背中をポンポンと擦った。
「さて、チィも待ちきれないようだしまだ早いけど、起きるか……」
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