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平然と自分専用のソファに座ると長い脚をテーブルの上に乗せ、仮眠を取る体勢に入る。
それを見てさすがに私も慌てた。
煌騎が眠ってしまったら、抱き締めて貰ってもいないのに一人ぼっちになってしまう。
孤独を感じるのはもうイヤだッ。
私は身体を起こすと急いで煌騎の膝の上に飛び乗り、彼の胴体に腕を回して縋りついた。
「ごめんなさいっ、煌騎ッ!」
「―――え、」
「もうワガママ言わないからお願いッ!! 私を一人にしないでっ!?」
「……………チィ、」
必死の形相の私に煌騎は一瞬言葉を失い、少し戸惑ったが直ぐに穏やかな表情に戻った。
そしてゆっくり私の背中を擦る。
「何に対して不安を抱いたのか知らねーけど、俺がお前を置いて一人ぼっちにさせるワケないだろう?余計な心配するな」
そう諭すように言われ、発作のようなざわついた気持ちが徐々に落ち着いていく。
何度も何度も頷いて煌騎の存在をその腕で確かめた。
「もしまた孤独を感じたら直ぐに俺の所へ来い。いつでも腕に抱いて安心させてやる」
「………うん、うん…、ありがと……」
彼は一度発した言葉は絶対に何があっても違えない。
理由はわからないけれど、私にはそんな確信めいたものがあった。
だからもう何も心配することはない。
これで私は煌騎の傍にずっといられるのだと信じていた。
そう、この時までは―――…。
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