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虎汰は今日も言い負かされて可哀想だったけど、これも彼の宿命だろうと思い、私はそっと見守るだけに留める。
それから車は何事もなかったかのようにゆっくりと走り出した。
車中では虎子ちゃんや流星くん、途中から元気を取り戻した虎汰に学校の様子を詳しく教えて貰った。
昨日の夜も散々聞いたのだけれど、待ち遠しくて私から強請ってしまったのだ。
そうやって楽しく時間を過ごしていると、学校と思われる建物の一部が遠くの方に見えてくる。
まだ結構な距離があるというのに随分と大きな学校だ。
期待を胸にワクワクしていると、外が段々と騒がしくなってきた。
何かと思って窓の外を見れば歩道には黒い人集りができていて、規則正しく列を成している。
中には私たちと同じ学校の制服を着ている人たちもいて、あちこちで何かがピカピカと光っていた。
「ねぇ、虎子ちゃん。アレは何をしてるの?」
「ん?あぁ、アレは一般の白鷲ファンの人たちよ♪ああして毎日飽きもせず、登下校に合わせてここで待ち伏せしてるの」
「………待ち伏せ?」
聞き慣れない言葉に私は首を傾げる。
もちろん意味は知っているけど、何の為にそうしているのかがわからない。
すると男性陣が辟易したように深い溜息を吐いた。
その様子に知らずゴクンと息を呑み込む。
でも虎子ちゃんは明るく、
「アイツら許可もなしに無断で写メ撮ったりするけど害はないからね♪ただ遠くから見てるだけ!心配ないよ☆」
と言ってさりげなく私の不安を取り除いてくれた。
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