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そしてゆっくり立ち上がると繋いでいた腕をぐいっと引き、そのまま私をドアまで導くと先に彼から車を降りた。
その瞬間、またもや女の子の悲鳴に似た歓声が沸き起こる。――が、私の姿を見つけるなり声色は一変した。
「―――え、ちょっ……あの子、誰っ!?」
「ウソ…あの煌騎さまと手を繋いでるわっ」
「白鷲の幹部メンバーの方々と一緒に登校するだけでも許せないのに、煌騎さまと手を繋ぐなんて……ッ!!」
車の周りを取り囲むたくさんのギャラリーの中から、女の子たちが口々にそう言っているのが聞こえる。
当然の事ながら彼女たちからは強い嫉妬の眼差しを向けられた。
その容赦ない視線に私は少し怖じ気づく。
咄嗟に目の前に立つ煌騎の袖を握るも、直ぐさま沸き起こるブーイングに慌てて手を引っ込めた。
「チィ、周りは気にするな」
「う、うん…でも…あの……」
「………ん?」
煌騎は気遣うように顔を覗き込んでくれたが、私は上手く笑い返すことができない。
今更だけど自分が人に対して恐怖を感じてしまうのをすっかり忘れていた。
じわじわと背中には嫌な汗が流れ、瞳は涙が溢れてきそうになるけど、これ以上は皆に迷惑を掛けたくないのでぐっと堪える。
「な、なんでもない……」
私は小さく首を横に振って懸命に笑顔を作った。
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