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相手にちゃんと伝わったか心配で窺うように顔を上げると、彼女は優しく微笑んでくれたけどやはり目だけが冷たいままだった。
どうしてだろう……?
益々わからない。
「チィ、何してるの?」
一人戸惑っていると車中から出てきた虎子ちゃんが私の横に並び、守るように肩を抱いてくれた。
その様子を見て藤嶺さんは一瞬だけ怯むが、彼女を強気に睨みつける。
「一昨日流れてきたあの噂は本当だったようね。…ということは“白夜”も茨さんを庇護下に置くと捉えていいのね?」
「当然でしょ?チィと私はもうダチなんだから♪ねー?」
「―――えっ!? あ、う、うん……?」
突然話を振られて慌てて頷く。
でもやっぱりというか私は意味がわかっていない。
庇護下ってなんだろう?
それに“白夜も”って…なに……?
「つか、わざわざお前ら何しに来たの?」
頭の中疑問符でいっぱいになっていると、虎汰が二人の間に入って口を出してきた。
その顔はちょっと険しくて怖いくらい。
彼の隣りに立つ流星くんも藤嶺さんたちを威嚇するように睨む。
なのに彼女は平然とした顔でニッコリ微笑んだ。
「いやですわ、私たち生徒会役員ですのよ?もちろん転校生の茨さんを理事長室にご案内しようと迎えに参りましたの」
さも当然というように言うと、藤嶺さんは煌騎の方に向き直る。
途端に彼女の瞳はキラキラと輝き、憧れの眼差しを称えていた。
私の時とは雲泥の差だ。
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