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「俺は欲しいものは必ず手に入れる。例えそれが入手困難なものだとしても、ね♪…知ってるでしょ?」
不敵に笑むと手をひらひら振り、今度こそ奴は俺を残して教室を出て行った。
途端に深い溜息が漏れる。
「ったく、また悪い癖が出たか……」
亜也斗は一度言い出したら何があっても考えを変えない。
しかも根っからのサディストだ。
あいつにとって女は傷つけ、苦しむ様を眺めて愉しむ為の玩具に過ぎない。
気に入った女は拉致監禁し、生きながらに指を切り落としたり精神的苦痛を与えては身も心も壊す様を、俺は奴の隣りでずっと見続けてきた。
そんな性格破綻な男だが、チームのトップとしての技量は誰よりも優れている。
だから俺は今まで個人の趣向だと諦め黙認してきた。
「けどよりによってあの女を次のターゲットに選ぶなんて……ハァ~」
考えれば考えるほど頭が痛くなる。
あの白銀があれほど大事に扱う女だ、必ず何かあるに違いない。
それがチームにとって最良の結果に結びつけばいいが……。
「亜也斗、今回ばかりは慎重に事を進めないと身の破滅に繋がり兼ねないぞ……」
誰もいなくなった教室に俺の言葉だけが虚しく響いた。
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