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「……うぅっ、煌騎だ~~~ッ」
私は煌騎たちの姿を見た瞬間に心の底から安堵し、感極まってわんわん泣き出してしまった。
でも助けを求めるように差し出した手は、無情にも亜也斗という男によって遮られてしまう。
「これはこれは…、白鷲のトップ自ら出向いてくれるとは光栄だね♪」
彼はそう言ってゆっくり立ち上がると私の前に立ちはだかり、落ち着いた様子で煌騎らに向き直った。
ひと度絡み合った視線は微動だにしない。
彼らは静寂な中互いに激しく睨み合い、辺り一面に緊迫した空気が流れる。
それを肌で感じた私は、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
あれだけ校舎内は一人で彷徨くなと言われていたのに……。
「……ごめ…なさ…い、私の……所為…で……ヒック、ごめん…なさい……」
止め処なく溢れる涙を懸命に堪えながら私は煌騎たちに謝った。
謝って済む問題ではないのかもしれないが、私には今それくらいしかできることがない。
自分は本当に無力だとこんな時に痛感する。
だけど後方に立っていた朔夜さんが渋い顔で首を横に振った。
「チィが謝る事じゃない。お前は虎汰たちから故意に引き離されたんだ」
「―――えッ!? それはどういう…意味?」
朔夜さんに告げられた言葉に驚いた私は、パチクリと瞳を見開いてしまう。
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