学校は危険がいっぱい

34/53
前へ
/325ページ
次へ
. 彼の怪我は素人の目から見てもあまりに酷い。 まるで集団暴行に合ったようだった。 虎子ちゃんを庇いながらではかなりの苦戦を強いられたのだろう。 一刻も早く彼をお医者さまに見せてあげたかった。 なのに私の目の前に立つ亜也斗は二人のやり取りを見て鼻で笑い、何故かその場でパチパチと手を叩き出す。 「なるほど面白い余興だね、楽しかったよ♪でもそろそろ飽きてきたかな☆」 「―――なんだと、テメェ!ふざけんなよッ!!」 直ぐさま流星くんが憤りも露に声を荒げるが、虎汰を支えている為に前へ出ることが叶わない。 悔しそうに歯軋りする音がこちらまで聞こえてきそうだ。 彼の心情を察した和之さんは、けれど流星くんを宥めるよう肩に手を置いてポンポンと叩く。 「……流星、気持ちはわかるが今は耐えろ」 そう言った彼は流星くんよりも歯痒そうな面持ちをしていた。 その様子で自分がこちらにいる所為で、彼らは下手に手出しができないのだと悟る。 ―――私はどこまでお荷物になるのだろう……。 悔しさのあまり下唇をぎゅっと噛んでいると、ふと煌騎と目が合った。 彼は私に優しく微笑むと小さく頷いてくれる。 なんだか“心配ない、直ぐに助ける”と言われているような気がした。 .
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1036人が本棚に入れています
本棚に追加