学校は危険がいっぱい

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. 表情が強張って震え出したのに気付いた煌騎は私を軽々抱き上げると、彼女を無視する形でその場を立ち去ろうとする。 けれど鷲塚さんは笑顔で彼の前に立ちはだかり、わざと行く手を塞いだ。 煌騎は短い溜息を吐くと鋭い目線で彼女を睨む。 「ハァ……フザけるのはよせ、愛音」 「アラ、そんなに私を彼女に逢わせたくない?でも助けてあげたのにその態度はないんじゃない?」 「………なん…だと?」 意外な言葉に驚いた煌騎の眉がピクリと上がる。 やっと反応が返ってきたのが嬉しかったのか、鷲塚さんはニヤリと含み笑いを浮かべて言葉を続けた。 「私が声を掛けなかったらその子、そこのドアから飛び出してたでしょうね。そうしたら幾ら貴方でもこんなに早くは見つけ出せなかった……違う?」 あくまでも問い掛けるように彼女は言う。 だけどその表情は自信に満ち溢れ、勝ち誇った顔をしている。 私は煌騎の腕の中で愕然とした。 確かに鷲塚さんの言う通りだと思ったからだ。 あそこから外へ飛び出していたら私は今も煌騎たちに会えず、意地悪な亜也斗に追い掛け回されていただろう。 その事に気付いた途端、脳裏に先ほどの恐怖が甦ってくる。 「……あ…あ…、煌騎…ごめんなさい、私……ごめんなさい……」 逃げ出したい一心で何も考えていなかったがあの時、彼女の口から出た“うさぎ狩り”という言葉の意味が漸くわかる。 彼らにとって私は狩る対象で、獲物だったのだ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ―――…」 考えが浅はかだった所為で、彼に多大な迷惑を掛けてしまうところだった。 手足が痺れてまた呼吸も短くなってくるのがわかったけれど、私は構わず煌騎に謝罪の言葉を連呼し続ける。 .
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