学校は危険がいっぱい

47/53
前へ
/325ページ
次へ
. ************** 暫く煌騎に抱っこされたまま歩くこと数分、建物を上へ上へと移動した先のある銀色の扉の前で彼は立ち止まった。 「チィ、少しの間だけ目を閉じてろ」 「え、どして?」 首を傾げる私に煌騎はクスリと笑うだけで、肝心の理由は教えてくれない。 後ろからついて来ていた和之さんや朔夜さん、流星くんを振り返ってみても、彼と同じようにニコニコと笑うだけ……。 でもそれがかえって私の中で期待が大きく膨らみ、わくわくが止まらなくなった。 「うん!わかったッ!! …コレでいい?」 ぎゅううぅっと目を固く瞑って煌騎に尋ねる。 すると彼は我慢できないとでもいうようにクスクスと笑い出し、口許に拳を当てて堪える仕草をした。 こっそり薄目を開けてそれを見た私はぷくっと頬を膨らませ、ポカポカと煌騎の胸を叩く。 「なんで笑うのッ!? 私まだ何もしてないよ?」 「いや、流星がお前の事を小動物系だと言っていたのを不意に思い出した…ククッ」 「ぷうぅっ!! 意味わかんない~ッ!! 」 尚もしつこく笑い続ける煌騎に釣られ、和之さんたちもクスクス笑い出し始める始末……。 私は完全に拗ねてプイッとそっぽを向いた。 「ごめんって、チィ。そんな顔するなよ……」 「ホラ、せっかくのかわいい顔が台無しだぞぉ?」 機嫌を取るように皆が私の頭を撫でたり頬っぺたを突いたりしたが、もうそんなので機嫌直したりなんかしてやんないんだと意地になる。 プイプイと顔を背け続ける私に困り果てた彼らは、互いに顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。 「ハァ、仕方ないな……」 少し離れた位置でただ一人それを傍観していた朔夜さんが、呆れながら制服のポケットに手を突っ込みこちらに近づいてくる。 .
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1036人が本棚に入れています
本棚に追加