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煌騎が言うには私は対人恐怖症の気があるらしく、いきなり教室へ向かうのはハードルが高すぎたのだという。
ならば先ずここで外に出る事に慣れてから、徐々に教室へ行けるよう訓練しようと提案してくれた。
「うん、それなら大丈夫かも……」
そう呟くと彼は嬉しそうに頷く。
いい子だと言ってまた頭をグリグリとする。
褒めて貰って嬉しくなった私はクスクスと笑ってその幸福感を噛み締めた。
でも暫くすると昨日夜更かしをしたのが祟ったのか、陽当たりが良い事もあり大きな欠伸を漏らしてしまう。
それを見た和之さんや流星くんらは力が抜けたように笑い、こちらにやって来て私たちの周りを取り囲むよう腰掛けた。
そして各々に寛ぎ始める。
「チィにはホント敵わないな……」
「なぁなぁ!それ、俺たちも参加していいんだろ?」
和之さんが苦笑いを浮かべれば、流星くんは嬉々として“屋上登校”の参加希望を訴える。
朔夜さんに至っては何処から出したのかノート型PCを無言で膝の上に置き、素知らぬ顔で立ち上げ操作し始めていた。
けれど耳はしっかりこちらに向けているようで、流星くんが冗談を言う度に時折彼の口端が上がったり下がったりしている。
私は重くなった瞼を擦りながら、年代が違うのに皆仲がいいんだなぁとつくづく思って見ていた。
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