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神埼だけじゃない。煌騎や白鷲の幹部たちもそうだッ!!
皆が私を無視し、蔑ろ(ナイガシロ)にする。
私はぞんざいに扱っていい存在ではないのに……。
これもあの女が生きている所為だと思うと、どうにも許し難くなってくる。
怒りに震える己の身体を強く抱き締めながら、でも落ち着いた様子を装って静かに神埼を見返した。
「そうやって…私を軽んじていればいいわ。来年の6月には正式に私も跡目を襲名するもの。それまでにあの女を始末してやる!」
「ホゥ、あの方のご意向を無視するんだな?…いいだろう、俺も力を貸してやる」
「―――えっ、私を止めないのッ!? 」
意外な言葉が返ってきて驚く私……。
あの方に忠実な犬と化した神埼ならば絶対に止めると思っていたのだ。
なのに彼は主に刃向かうというのにまったく動じていない。
寧ろ本望だと言わんばかりの強い眼差しをこちらに向けた。
「命令を聞いているばかりでは上へは昇れないからな。で?勝算はあるのか?」
冷静な神埼はあくまで私が主体となって動く事を前提に話を進める。
どこまでもずる賢い男だ。
だが今の私にはまだ何の力もない非力な存在……。
彼は必要な駒なのだと思い直し容認した。
「……蛇黒を使うわ。亜也斗があの女を甚く気に入った様子なの。上手く利用すれば罪は全部奴らが被ってくれる」
「蛇黒、か……」
自信を持って提示した策に、けれど神埼は眉を潜めて難色を示す。
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