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しかも学年は彼女の方が2つも上なのに、上からものを言っても気にした風もない。
一見すると生徒会長に選ばれただけあって、先輩後輩関係なく接してくれているのだと思うだろうが、私は他の者に対して常に横柄な態度をとっているのを何度も目撃している。
彼女は強い者に巻かれるタイプだ。
………そういう人間はキライじゃない。
ふとある事を思い付いて確認の為に口を開いた。
「確か藤嶺さんって吉良 悠真と同じクラスでしたよね?」
「え、えぇ。吉良くんは成績優秀だから三年間ずっと同じクラスですわ」
藤嶺さんは誇らしげにそう答える。
ウチの学園は成績順にクラス分けをするので、暗に自分も成績優秀者だと誇示したいのだろう。
でも私が聞き出したいのはそういう事ではないので、そこは敢えて軽くスルーする。
「彼ってどんな人なの?二年の常磐くんのお宅に居候してるって聞いたのだけど本当?」
「えぇ、本当ですわ。ご両親が共に住み込みで常磐家に仕える使用人をしているそうなので……」
不躾に吉良の個人情報を尋ねる私に訝しんだ藤嶺さんは、尻窄みに声が段々と小さくなっていく。
彼女に警戒心を持たれては元も子もないと、私は直ぐさま作り笑顔を顔に貼り付けた。
「あぁ、誤解しないで?私から彼らに何か仕掛けるとかじゃないから!実は向こうから接触があって……」
「―――えっ!? 接触って……もしかして今日、転校してきた茨さんと何か関係がありますかっ!?」
「……えぇ、そうなの」
獲物が罠に掛かった事を私は心の中で密かにほくそ笑む。
今朝の行動から煌騎に心酔している彼女なら、既に彼らが動いて何か吹き込まれていると踏んだが思った通りだ。
これを利用する手はない。
さぁ、ここからが反撃よ!見ているがいいわ……。
必ず私はあの女に復讐してやる!!
そしてまたすべてを奪って、今度こそ闇に葬ってあげるんだから♪
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