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キャッキャと騒いでいたら胸元にある煌騎の頭から苦笑の声が漏れ聞こえ、私の腕を軽く叩いて少し緩めるよう言われた。
「ハハ…わかったから取り敢えず落ち着けチィ。落っこちるぞ?」
そう言うと彼は軽々と私を抱き直す。
後ろに続く和之さんや朔夜さん、流星くんもクスクス笑って“パンケーキは逃げたりしねーよ”とか揶揄された。
けれど瞳は皆、穏やかなまま優しく見つめてくれている。
「ご、ごめんなさい……」
さすがにはしゃぎ過ぎたと気づいて顔を赤らめ、俯き加減に反省の言葉を口にする私……。
煌騎は軽く息を吐くと私の顎を指で掬って顔を上げさせた。
「別に怒ってるワケじゃない、いちいち謝るな。喰うのが楽しみなんだろ?だったら喜んでろ」
「う、うん…。あ、だったら煌騎たちも一緒に食べよ?皆で食べた方がきっと美味しいよ♪」
「え?あ~っと、それはだな……」
ぶっきら棒だけど優しい言葉に宥められ、シュンとしていた気持ちが一気に浮上する。
我ながら素敵なアイデアだと思ったのに、でも何故か煌騎を筆頭に皆が顔を引き攣らせて黙り込んでしまった。
「チィ、悪いッ!俺ら甘いモンはちょっと……」
最後尾にいた流星くんが口籠もりながら、申し訳なさそうに小さな声で言う。
けど意味がわからない私はコクンと首を傾げる。
すると和之さんの後ろにいた朔夜さんが呆れたように溜息を吐き、静かに口を開いた。
「いいよ、俺が付き合う。糖分は小まめに採らないと頭の回転が鈍るからね」
「あ、そうか、お前がいたか!良かったぁッ!! 俺マジ甘いモン苦手でさぁ……」
「―――え?」
朔夜さんの言葉に流星くんは思わず歓喜の声を上げたみたいだけど、私は信じられない思いで尋ね返していた。
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