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「ね、ねぇ…これは……なぁに?」
とにかく意味がわからなかった私は、戸惑いながらも虎汰にそう尋ねる。
すると彼は嬉しそうにこう答えた。
「ん~、チィの初登校記念?みたいな?」
「なんで疑問系なんだよ……」
透かさず流星くんが反論する。
でも虎汰は気にした風もなく横にあった紙袋の中身を机の上にぶち撒けた。
中からは大量のお菓子が山のように出てくる……。
「……おい、虎汰。それはなんだ」
「ん?お祝いにチィと食べようと思って買い込んできた☆ほら、チィおいで~♪」
今度は和之さんがこめかみを指先で押さえながら尋ねるが、やっぱり彼は悪びれた感じもなく平然と言葉を返す。
そしてお菓子を2~3コ持つと私に見えるように手元で振った。
「………………ガキ」
朔夜さんの重低音の声が室内に響く。
周りの様子を伺いながら煌騎についたカラフルな紙屑を取り除いていた私は、思わずビクンと身体を跳ねらせてしまった。
けど直ぐに背中をポンポンされて落ち着きを取り戻す。
「え~、なんで~ッ!? 全部新作のお菓子だよッ!? チィの為に一生懸命探したのに~ッ!! ブー」
「ハァ……健吾、こいつは大丈夫なんだな?」
あくまでフザケ続ける虎汰に煌騎は深い溜息を吐き、やや時間を置いて健吾さんの方に目線を向ける。
彼の視線に気づいた健吾さんは苦笑しながら、でもしっかりと力強く私たちに頷いてくれた。
それを見て取り敢えず皆もホッとする。
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