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誰の所為でもないならわざわざ私を除け者にしなくてもいいはず。
なのに移動させたがるのは私のいないところで二人を叱る為だと思ったからだ。
「………わかった、いいだろう。チィにも罰を与える」
「―――ちょっ、煌騎本気かっ!?」
煌騎の言葉にその場は一時騒然となる。
珍しく動揺した和之さんは咄嗟に彼の肩に手を置いて止めに入り、流星くんも朔夜さんも守るように私の前に立ちはだかった。
ソファに座る虎汰も立ち上がろうとして肋骨に響き、転げ落ちるように床へ崩れ落ちて虎子ちゃんに支えられている。
「ったく、チィの事になると途端にダメになるなお前ら…。こいつがチィに手を挙げると思うか?」
ククッと堪えるように健吾さんが笑う。
真剣に私が殴られる事を心配をしていた和之さんたちは、瞬時に我に返り安堵の溜息を吐いた。
「そ、そうだよな。いくらなんでもチィを殴ったりなんかしないよな!そんな事したらチィ壊れちまうもんッ!!」
心底ホッとしたように言う流星くん。
でも煌騎は何も言わず私の頭にそっと手を伸ばした。
と次の瞬間、パチーンという音と共に信じられないくらいの衝撃がおでこに走る。
思わず両手で自分のおでこを押さえた。
「えっ!? デ、デコピン……?」
「な、なんで…デコピン……?」
皆信じられないものでも見たように驚いて目を点にする。
そんな中、健吾さんだけは豪快に笑っていた。
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