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「バッカだな~、言いつけを守らなかった子供に罰を与えるって言ったらデコピンだろ?定番じゃないか♪」
「いや、そうだけども……」
飄々と言う健吾さんに周りの皆は戸惑いを隠せないといった感じだ。
オロオロとして心配そうにこちらを見ている。
でも私はちゃんと罰を与えて貰って嬉しくて仕方がなかった。
己の過ちに気づき、悔いているのに誰も叱ってくれなかったので一人モヤモヤとしていたからだ。
確かに今までは無条理な暴力を受けていた為に、痛みやそれらを感じると恐怖に震えていた。
けれど今回は正当な理由がある。
躾として私を本気で叱ってくれたのは煌騎だけだった。
だからちょっと痛いけど甘んじてそれを受け入れる事ができる。
「煌騎、ごめんなさい。これからは気を付けます」
痛むおでこを擦りながらペコリと頭を下げ、私は満面の笑顔で彼に謝罪の言葉を口にした。
すると煌騎も静かに頷くと口端を緩やかに上げる。
「人は誰でも過ちを犯す。問題はそこから如何に学ぶかだ。だが皆はお前なら同じ失敗は繰り返さないと信じているから敢えて叱らなかった。…わかるな?」
「うん、そうだね。我が儘言ってごめんなさい。……健吾さん、和之さん、朔夜さん、流星くん、虎汰、虎子ちゃん、それから煌騎もッ!! 私を見守ってくれててありがと♪」
改めて私は皆に感謝の気持ちを述べた。
誰かに心配して貰ったり、悪い事をした時は怒って貰えたりするのってとても幸せなことだ。
だってそれは私に関心を持って貰えているって事だから……。
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