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ニコニコと周りを見渡すと皆は少し驚いたような顔をしていたが、次第に穏やかな笑顔へと変わっていく。
いつもの暖かく見守ってくれてる時の表情だ。
「もう気は済んだか?さっ、向こうに美味しいケーキを用意してあるから食べに行こう♪」
ご満悦の健吾さんは一度私を抱え直すと愉しそうにそう言った。
それで彼が先ほど、煌騎たちはこれからチームの大事な話し合いがあると言っていたのを思い出す。
私は短くあっと声を漏らすと大慌てでコクコク頷き、彼に早く退室するよう催促した。
「あぁ、健吾さん!あんまりチィに食べさせ過ぎないようにして下さいよ?夕飯が食べられなくなっちゃいますから……」
隣に向かう途中、和之さんが心配そうに健吾さんに忠告する。
けれど彼はその声には反応せず、片手を挙げただけで返事も返さなかった。
なので代わりに私が後ろを振り返り、彼に“大丈夫だよ”と言って手を振ってあげる。
それを見て皆はクスクスと笑い出してしまったが、何故か和之さんだけはまだ心配そうな顔のままこちらを見ていた。
大丈夫って言ってあげたのになんでだろ……?
内心は不思議に思いつつ、でも彼に安心して貰おうと私は部屋を出るまで笑顔で手を振り続けたのだった。
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