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. 《煌騎side》 チィが笑顔を振り撒きながら去ってから数分後、室内はまだ暖かい空気に包まれていた。 それぞれが己の席に着くまでに談笑を交わす。 それを何も言わず静かに眺めながら口端を上げ、俺も自分の席に腰を落ち着ける。 あいつのお陰でチーム内の雰囲気も大分変わった。 以前は必要最低限の言葉しか発しなかった朔夜や、料理を趣味としていた和之もワザワザ人に深く干渉したりしなかった。 一見何も変わっていなさそうな流星や虎汰ですら、女嫌いを主張していたのにも関わらずチィを前にすると途端に落ち着きをなくす。 それがチームにとって良いことなのかどうかはわからない。 でも新しい風が吹いているのは確かなようだ。 和んだこの場の空気を壊すのは少し忍びないが、今後のチームに影響を及ぼす大事な話をしなければならない。 俺は軽く脚を組んで皆の注目を集めた。 「各自もう耳に入っていると思うが今朝の件以降、蛇黒の動きが活発になっている」 そう口火を切ると、和之たちの顔から笑顔が消える。 瞬時にスイッチがOFFからONに切り替わり、野生の獣のような鋭い眼差しに変貌してこちらに向けてきた。 「俺たちが学校に出ている間に繁華街で派手に暴れたそうだ。対処した連中によると7~8人のグループが一般のサラリーマンをボコって回っていたらしい」 「―――はぁっ!? なんだよソレッ!!」 和之が俺の言葉を引き継ぎ、皆に詳しい説明を施す。 しかしそれを聞いた虎汰は驚きに目を見開いた。 恐らく怪我の治療中に一報が届いた為に、虎子が詳細を一部伏せて知らせたのだろう。 奴は激しく激怒して声を荒げる。 「あいつッ!! 一体何がしたいんだよ!? チィを浚おうとしたり、関係ない一般人にまで手ぇ出して……許せねぇッ!!」 怒りを抑えられないのか虎汰はソファの肘掛けに拳をガンッと振り下ろす。 が、負傷した肋骨に響き、声にならない悲鳴を挙げてその場に蹲る。 だが朔夜は冷静にPCを起動させながらこう告げた。 「そんなの決まってる。こちらに戦争を吹っ掛けたいンだろ……」 .
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