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. 「今回の処遇はお前にもう一度チャンスを与える意味合いもある。白夜ともそれで手打ちにした」 まるで脅し文句だなと心の中で密かに思う。 本来なら俺も当事者を無視した取引などしたりしない。 しかし虎子はチィが唯一心を赦すことができる初めての女友達だ。 今は非常事態なのだと自分に言い聞かせる。 「お前がどうしてもというならチィの件が片付くまでで構わない。頼む、承諾してくれないか」 怯む虎子に俺は更に言葉を続けた。 できれば虎子自身がちゃんと納得し、快く快諾してくれる事を強く願う。 「すっげぇじゃん、虎子!お前ずっとウチのチームに入りたいって言ってたじゃねーかっ!! なんで渋るんだよッ!?」 「で、でも白鷲は女人禁制じゃ……」 返事を返さない事に痺れを切らした虎汰が興奮気味に捲し立てるが、虎子は強張った表情のまま呟くと押し黙ってしまった。 なるほど、一番のネックはそこか……。 漸く活路を見出だした俺は一気に畳み掛ける。 「既に歴代のトップにも承諾は得ている。特に“伝令”を発令した5代目の奨さんは『初代幹部の娘なら問題ない』と太鼓判を押してくれた」 「―――えっ、奨さんがっ!?」 「マジッ!? スゲェよ、虎子!あの奨さんに太鼓判を押して貰えるなんて、もう入るっきゃないだろ♪」 呆然とする虎子を余所に、大興奮の虎汰は彼女の手を取るとブンブン振り回す。 だが虎子も満更でもない様子で硬い表現が少し緩み、彼女の顔から笑みが僅かに零れる。 二人が喜ぶのも無理はない。 双子にとって奨さんは10年来の憧れの人だった。 あの忌まわしい事件が起こった日、俺と同様に虎汰や虎子もその場にいた。 その時二人は奨さんに助けられたのだ。 .
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