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「―――ちょっ、どうしたのッ!? 何事ッ!?って、ウソ……!?」
あまりの騒音に隣で大事な話をしていたハズの和之さんが一番に駆けつける。
そしてやっぱりというか何というか、キッチンの惨劇を見て絶句した。
後に続いて入ってきた虎汰や流星くんも、あちゃ~と呟きながら引き攣った笑みを零す。
最後にゆっくり室内へ入ってきた煌騎は、この事態をある程度予測していたのか壁に寄りかかりながら、少し困った表情で静かにこちらを見ていた。
「和之ッ!! ちょうどいいところに来てくれた!! あ…あいつが現れたんだ!! ヤッつけてくれッ!!」
皆の驚いた様子など視界にない健吾さんは、直ぐさまキッチンの主である和之さんに助けを求める。
でも彼はショックのあまり放心したまま動かない。
すると後ろから虎子ちゃんがニュッと顔を出し、キョロキョロ辺りを見回してからまた引っ込んだ。
でもしばらくすると戻ってきて、虎汰たちの間を掻き分けて前へと進み出る。
そのまま彼女は一気に黒い物体まで近づくと、手に持っていた新聞紙を勢い良く振り上げてバシンッと見事にソレを叩き潰した。
途端に周りから歓声が挙がる。中には拍手まで贈る者もいた。
「オーッ!さっすが虎子♪」
「頼りになるねぇ♪」
「うっさいッ!! こんなことで頼りにされても全然嬉しくないわよ!!」
虎汰と流星くんの賛辞に振り返った虎子ちゃんは不貞腐れたように答える。
けれどよく見れば彼女の頬は赤みを差し、テレているだけのようにも見えた。
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