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. ********** 「いい加減落ち込むの止めろよ、和之……。お詫びに晩飯奢ってやってるじゃないか」 悪びれることなく健吾さんが言う。 ここは前にも来たコトのある虎汰と虎子ちゃんのご両親が経営するお店『white eagle』だ。 あの後私たちは放心したまま固まった和之さんを、何とか引き摺ってこの店までやって来た。 目的はもちろん晩ご飯を食べる為だ。 健吾さんの所為で壊滅状態になったキッチンは今チームの子たちが全力で修復中らしい……。 私たちが戻る頃にはキレイに片付けられていると思うけど、それでも和之さんは納得がいくまで自ら掃除するに違いない。 そう思うと途端に申し訳ない気持ちになる。 元は私が一人で退治しようとしたからこんな大惨事に発展したのだ。 反省の気持ちも込めて深く項垂れていると、煌騎が優しく私の頭を撫でてくれた。 見上げると彼はそっと目元を細め、私に笑顔を向けてくれる。 きっと落ち込む私を慰めてくれてるんだろうけど、申し訳なさすぎてそれに応える事ができなかった。 それを向かいの席で見ていた朔夜さんがチッと短く舌打ちをし……、 「チィが気を遣うからウジウジすんの止めたら?」 と、冷たい一言を自分の横に座る和之さんに浴びせる。 彼はうっと言葉を詰まらせたが、ようやく顔を上げてこちらを見てくれた。 「ごめんよ、チィ。もう大丈夫だから気にしないで?」 「う…うん、わかった……」 どこか無理をしてそうな笑顔だったけど、それは今の彼の精一杯だろうから私は何も言わない。 ニコッと笑い返して素直に頷いた。 .
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