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白鷲には身内でもある虎汰もいるし、密か?に想いを寄せる流星くんもいる。
それに見た限り虎子ちゃんは毎日彼らのたまり場へ足繁く通っているようにも見えた。
だけど彼女が上げた理由のひとつに優子さんも言った通り、鉄の掟が障害として存在した……。
白鷲は誰であろうと女はチームに入れない。
それは5代目総長の桂木さんという人が決めた事だった。
そしてもうひとつの理由は、女という理由だけでチームに入れて貰えない事に憤りを感じ、自暴自棄になっていた時期に白夜の現総長と出会い救われたからだと教えてくれた。
今の虎子ちゃんが自分らしくいられるのは彼女のお陰なんだそうだ。
なのにそのチームを抜けてこちらに入ったというのだろうか……?
まさかとは思うが強制的なものが働いたのかと危惧したけど、そんなのは私の杞憂だったようで彼女は純粋に喜んでいるようだった。
「さすが私の娘ね♪あの掟を破るのは虎子しかいないと思ってたワ☆」
「もぉ~、ママは大袈裟すぎるのよ!でも……これからは白鷲の虎子として堂々とあなたの傍に要られるわ!! よろしくね、チィ♪」
上機嫌の優子さんに頭を撫で回されながら、嫌がる素振りも見せず虎子ちゃんが明るく言う。
それを見た私は嬉しさのあまりうん!と大きく頷くと彼女に抱きついてしまった。
そしておめでとうと心から祝福する。
今この時期でのチーム加入に、どれほど深い意味があるのかなどと考えもせずに……。
この時はまだ知らなかったのだ。
自分がどれだけ周りに不幸を齎す存在なのかということを……。
この先どんなに彼女たちを危険な目に合わせるのか知りもしないで、私はその日店が閉店するまで虎子ちゃんを祝っていた。
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