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「………わかった。だったら和之、店先に俺のバイク停めてあるからソレ乗って帰ってきてくれるか」
「あぁ、いいけどお前らは何で帰るんだ?」
当然だけれど沸き起こる疑問……。
行きはまだ体力があったので煌騎のバイクに乗せて貰えたけど、帰りはさすがにもうあの大きな乗り物の後ろに乗れる自信は私にはない。
実は乗って初めて気がついたのだけど、二輪のバイクは後ろに乗る者もなかなかの技術がいるのだ。
それを踏まえて煌騎は自分の愛車を和之さんに委ねたのだろう。
でも彼のバイク以外の乗り物は後、こちらも彼所有の高級乗用車1台しかない。
人はたくさん乗れるけど私たちがそれに乗って帰ってしまったら、和之さん以外の人が帰りに困ってしまう。
どうするのか静かに二人のやり取りを見守っていると、煌騎が懐からスマホを取り出した。
「直ぐに替えの車を寄越す。お前らはそれに乗って帰って来ればいい」
「………どうあってもチィを早く帰らせて休ませたいんだな。わかったよ……」
和之さんはちょっと困ったような、でも彼がそうする事を望んでいるのか嬉しそうに微笑むとそれを了承する。
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