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次に私が目覚めたのはここ2~3日で馴染みつつある倉庫内のベッドがある部屋だった。
そこのキングサイズベッドの真ん中に寝かされ、腕には細い管がついた点滴が抜けないようにテーピングで固定されている。
キョロキョロと辺りを窺うが、ここには元から窓がない為に時間の感覚がわからない。
今は何時くらいなのだろう?
まだ覚醒しきっていない頭をフル回転させ気を失う前の記憶を呼び起こそうとするが、頭の中が霧が掛かったようにぼんやりとしていて思い出せない。
すると真横から何か物音が聞こえてそちらに顔を向けると、ベッドの縁に腰を下ろしながら私を心配そうに見下ろす煌騎の姿が見えた。
どうやら彼は私が目覚めるまでベッド横の床に座り込んでいたらしい。
目が合うと申し訳なさそうにだけど口端を少し上げた。
「………もう、大丈夫か…?」
「……うん、大丈夫♪煌騎が私をここに運んできてくれたの?ありがとう」
これ以上は心配を掛けないようにとニッコリ微笑むと、煌騎は何故か複雑そうな顔をする。
それから照れ臭いのかプイッとそっぽを向いて、でも直ぐに反省を滲ませた表情になった。
「礼なんか言う必要はない。俺が原因でこうなったんだ……」
そう言って彼は私の額に大きな掌を乗せる。
軽く熱を測るとそのまま頭と耳の後ろを擽りながら撫でていく。
そして滑るように顎を撫でると左頬へたどり着き、その手で優しく包み込んだ。
最後にちゅっと唇に触れるだけのキスをされ、その間熱い眼差しを向けられて惚けたようになっていた私は真っ赤になって慌てる。
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