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「―――ななななななんでッ!? どしてぷちゅって……ぷちゅってするのぉ!?」
あまりの動揺に吃りながら言うと、煌騎は僅かに眉根を寄せて首を傾げる。
よもや自分の言ってる言葉が彼に伝わらなかったとは思わない私は、答えが返ってこない事にちょっとムッとした。
直ぐさま上半身を起こすと頬を膨らませて理不尽にもプリプリと怒り出す。
「もう!どーして?どーして発作も起こしてないのにぷちゅってするのッ!?」
「……ん?……あぁ、キスの事か…。チィの寝起きの顔が無防備だったかったからつい…な。イヤだったか?」
発作という単語で漸く私の怒りを理解した煌騎は、けれど一瞬頼りなげに瞳が揺れ、そしてお伺いを立てるように顔を覗き込んできた。
これが彼の策略とも知らずに私はまたわたわたと慌てる。
「イ、イヤじゃないよ!? ただびっくりしただけだもん!!…でもっ、でもっ」
本当にただ驚いただけなのだが、今後もこうして突然キスされては私の心臓が保たない。
そこは譲れないと尚も言い募ろうとしたけど、途端に意地悪する時のような顔に戻った煌騎は口端を小気味良く上げる。
「だったらいいじゃないか、そもそも可愛い顔をするお前が悪いっ」
「―――なっ!?…わ、私の所為なのっ!? 」
信じられない言葉を言われて唖然とする。
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