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災難なのは虎汰で突然自分に話が振られ、頭の上にはクエスチョンマークが飛び交っている。
「なになに?俺、チィの役に立つことある?」
「おー、あるある♪とりあえず煌騎の隣に行ってみ?」
事情を知らない虎汰はヘラヘラと笑いながら尋ね、健吾さんは噴き出すのを必死に堪えながら私の代わりに答えた。
彼は疑問に思いながらも律儀に言う事に従い、席を立つと煌騎の隣に並んだ。
「………んで?俺、何するの?」
キョトンと可愛らしく首を傾げる虎汰。
そのあまりの愛らしい仕草に私は期待に胸が高鳴り、思わずキラキラとした眼差しで煌騎を見た。
健吾さんも後ろで“ヤれ!”と顎を突き出し合図を送っている。
すると彼は渋い顔をしたまま諦めの境地に達したのか溜息を深く吐き、虎汰の腕を掴んで強く引き寄せるとぶちゅっと音が聞こえてきそうな勢いで唇を重ねた。
途端に周りから驚きの声とざわめきが沸き起こる。
「―――ちょっ、お前…っ、なにしてっ!?」
「………………ウソでしょ………」
「……ったく、朝っぱらからつまんねーもん見せてんじゃねーよ」
皆が思い思いに言葉を漏らす中、虎汰はあまりのショックに白目を向いて気を失ってしまった。
そんな中でも朔夜さんは只一人、無反応のままPCのキーボードをカチャカチャと叩き続けている。
それらを見て健吾さんがゲラゲラと笑い転げたのは言うまでもない……。
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