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「ひっでーよっ!煌騎も健吾さんも…それにチィもッ!! 」
先ほどから虎汰の怒りはちっとも収まらない。
あれから気を失った彼を介抱して、何事もなかったように皆で朝食を採った。
その後学校へ向かうべく車に乗り込んだのだが、突如また怒りが再沸騰したのかずっとこの調子なのだ。
煌騎は煌騎で不機嫌も露にそっぽを向いたまま、誰とも口を利かず腕と脚を組んでダンマリを貫き通している。
こちらはもう私の手には負えないので放置するとして、虎汰の方を一生懸命宥めたり機嫌を取ったりしてみた。
が、よほど腹に据え兼ねたのか許してくれる気配がない。
ほとほと困り果てていると、見兼ねた朔夜さんが呆れた口調で短く彼に言い放つ。
「………虎汰ウザい、少し黙れ」
「……うぐっ」
途端に言葉を詰まらせた虎汰は静かになった。
どうやら以前虎子ちゃんが言っていた通り、彼と流星くんが朔夜さんには絶対に逆らわないというのは本当だったらしい。
私は尊敬の眼差しで見るも彼は既にPCに目が向いており、お礼を述べることも出来なかった。
「いつもの事だから気にしなくてもいいよ♪」
「―――えっ、」
落ち込んでいると二つ隣に座る和之さんがニッコリ微笑みながら言ってくれる。
すると隣の虎子ちゃんも私の頭をナデナデしながら頷いた。
「朔夜くんは謂わば暴走しがちな虎汰と流星のストッパーなの。だからチィが気にする事じゃないわ♪」
「………そう…なの……?」
目をパチクリと見開いて尋ね返すと、彼女はクスクス笑いながらまたコクンと頷く。
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