1036人が本棚に入れています
本棚に追加
.
暫くして外から呼ばれたので煌騎に手を引かれながら車内を出る。
すると昨日よりも多くの女の子たちが車の周りを囲っているのが私の目に飛び込んできた。
そして向けられるのはやっぱり敵意と嫉妬に溢れた眼差しばかり……。
でも直ぐさま流星くんや虎汰、和之さんに朔夜さんが周りを囲って見えなくしてくれた。
見上げれば隣には煌騎もいて、しっかりと私の手を握り締めてくれてるので何とかその場から逃げ出さずに済んだ。
「今日は生徒会の連中がいないな……?」
「フンッ、当然だろ!昨日あれだけ煌騎に袖にされたんだ。プライドが邪魔して来れないんだろ?」
流星くんがポツリと呟くと虎汰が透かさず返す。
その口振りはザマーミロとでも言いたげだ。
はて、虎汰は彼女に何か恨みでもあるのだろうか……?
疑問に思って首を傾げると、斜め後ろに立つ虎子ちゃんがこっそりと耳打ちして理由を教えてくれた。
何でも藤嶺さんは過去にたった一度だけ、虎汰の身長の事に触れてしまった事があるらしい。
当人はその時の事を覚えてもおらず、それがまた彼の逆鱗に触れているのだという。
それを聞いた私は今後一切、虎汰の前では身長の事は口が裂けても触れないでおこうと密かに心の中で誓った。
.
最初のコメントを投稿しよう!