忍び寄る影

17/24

1036人が本棚に入れています
本棚に追加
/325ページ
. 招かれざる客の亜也斗は私の位置からではその姿すら見えなかったが、威圧感に溢れた彼の存在はどうしても消せない。 それが肌にヒシヒシと伝わり、怯える私を更に震え上がらせた。 「フン、何の用とはご挨拶だな。ここはお前たちクズどもの所有地じゃないハズだが?」 「―――何だと!? このヤロッ!!」 「調子ノッてんじゃねーぞっ!!」 何処までもふざけたように言う亜也斗に、煌騎の両脇に控える流星くんや虎汰は今にも飛び掛かりそうな勢いだ。 だけど煌騎は目線だけでそれを制す。 昨日の夜、店で和之さんに少し話を聞いたのだけど、彼らは学園内では絶対に問題を起こせないらしい。 1度でも問題を起こせば即、退学――チームに所属しているというだけで煌騎たちは問題視され、厳罰に処されるのだという。 それは亜也斗にも当てはまることなのだが、彼はあまりこの学園に執着がないのか一向に問題行動を改めなかった。 だからか煌騎たちもほとほと手を焼いているらしい……。 「俺たちは学園(ココ)ではお前の相手はしない。暴れたいなら他所へ行け」 冷静に煌騎が言い放つ。 けれど亜也斗がそれで納得する筈がなかった。 姿が見えなくてもわかる。彼が嘲笑うように笑みを浮かべているのが……。 .
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1036人が本棚に入れています
本棚に追加