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「バカ言うな!今回は不破から連絡を受けたんじゃない。下で生徒会長がお前を見かけてわざわざ知らせてくれたんだ!! 」
反省の色を見せない彼に青い髪の男は呆れ気味に言う。
だけどそれでも亜也斗はフザけた態度を改める事はせず、平然と鼻で笑うと男に掴まれた胸倉の腕を強気に払った。
「フン、それはそれはご苦労さま♪つかせっかくの余興が台無しじゃん……気が削がれた。帰る」
くるりと青い髪の男に背を向けると亜也斗は面白くなさそうに一人、出入り口の方へと向かう。
どこまでも気まぐれな主に翻弄された男は深い溜息を吐くと、煌騎たちに目ですまなさそうな視線を送ってから小さく頭を下げ、慌てて彼の後を追った。
その姿を眺めながら私はぼんやりと思う。
今の行動にどれほどの意味があるのかはわからないけれど、もしかしたら彼はそう悪い人間ではないのかもしれないと……。
少なくとも彼に対する印象は私の中でがらりと大きく変わった。
が、亜也斗は途中でピタリと足を止めると再びこちらを振り返り、嫌味な笑みを私に向けたのでビクリとまた反応する。
「あー、言い忘れてたけどおチビちゃん。キミの『飼い主』、ホントはもう居場所特定してるみたいよ?」
「………え……」
「早くそこから放れないと周りに迷惑掛け捲っちゃうかも、ね♪」
「―――…っ!? 」
さも愉しい事が起こりそうだと言わんばかりに喜ぶ亜也斗とは対照的に、私はそう言われて顔面蒼白になる。
あまりの恐ろしさから発狂しそうになるのを煌騎の腰にしがみつく事で何とか堪えた。
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