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「根拠もねー嘘吐くな!テメェはそうやってチィを怖がらせたいだけだろがっ!!」
私の動揺を目にした流星くんが頭にカッと血が昇り、建物から颯爽と飛び降りて床に着地すると同時くらいに亜也斗目掛けて飛び掛かる。
けれど和之さんはそれを予測していたのか先に下へ降り、寸でのところで彼の目の前に立ちはだかってその暴走を止めた。
「お前こそ一発退場を喰らいたいのかッ!? 奴の挑発に乗るなッ!!」
「―――でもっ!? 」
「でもじゃない、今は堪えろ!そんなじゃチィは守れないぞッ!!」
和之さんにそう言われ、流星くんは悔しそうに顔を顰めると近くの壁に拳をブツけ、ちくしょーッ!!と声の限りに叫んで何とか怒りを鎮める。
それらは一瞬の出来事で私には何が起こったのかすらわからない。
だけど和之さんの機転で何か大きな問題が回避されたのだという事は朧気にだがわかった。
すると亜也斗が何がおかしいのかケタケタと笑い始める。
緊迫した空気は彼によって瞬く間に気の抜けた雰囲気になった。
「ざぁんねーん♪後ちょっとで猪突猛進バカを学園から追い出せたのにぃ☆」
「―――んだとっ!このヤロッ!!」
「流星ヤメロッ!!」
またもや猛獣と化した流星くんが飛び掛かりそうになるが、和之さんは慣れた手つきで再び彼を止める。
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