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―――あぁ、私はもうあの人たちに怯えなくてもいいんだ……。
彼らの言わんとしている事が頭ではなく心で理解できた瞬間、身体が小刻みに震え出した。
そして漸く自分が泣いているのだと気づく。
さっきの余韻もあってただ静かに涙が頬を伝い、次第に嗚咽が漏れ始めてきて私は目の前の彼の首に縋りつき、声の限りに泣き叫んだ。
「うぅっ、ヒック……わた…しもう、我慢しなくて……いいっ…のぉ……?」
「……あぁ、もう我慢しなくていい。今までよく頑張ったな」
「んっ……うわあああぁんっっ!!」
白銀の髪の彼は私を強く抱き締め、背中を優しく擦り続ける。
他の皆もただ見守るように無言で見つめてくれていた。
彼らの優しい気遣いが痛いほど伝わってきて、私は死ぬほど嬉しかった……。
「……ヒック、……ヒック」
やっと涙が止まった頃、今度は人前で泣いた気恥ずかしさが私を襲う。
こんなに泣いたのはいつぶりだろう。
たぶん子どもの頃以来だから10年ぶりだろうか……?
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