忍び寄る影

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. それを静かに見守っていた朔夜さんが、やや溜息を漏らすと下へ飛び降り彼も和之さんの加勢に加わった。 もちろん加わるといっても力ではなく言葉で……。 「……流星、いい加減にしろ」 朔夜さんは彼の前に立つと胸元にそっと右手を置き、目を真っ向から見据える。 すると流星くんはタジタジと焦りの色を見せ始め、ぐぬぬとうめき声を漏らしてみるみる大人しくなった。 「何だよ、陣馬。赤鬼の異名を持つ割には大したことないのな♪」 亜也斗が尚そう揶揄しても今度は朔夜さんがいる手前、流星くんもキレることはない。 ただ悔しそうに拳を握り締めて懸命に堪えていた。 「亜也斗ッ!いい加減にするのはお前の方だっ!! この事はお前の父親の常磐氏にも報告させて貰うからな!!」 「フンッ、ご勝手に♪」 戒めるつもりか青い髪の男がそう言っても、亜也斗はどこ吹く風でまったく取り合わない。 事態が収束したのを見届けると後は興味を失ったのか、その足はまた出入口の方に向かって歩き始めた。 最後にチラリと私の方へ視線を投げ掛けてから……。 その眼差しは先ほど問い掛けた質問に対する返答を求めるような感じだった。 おそらく私に選べと言っているのだろう。 新たな『飼い主』を誰にするかを……。 .
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