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「~というワケ!わかったッ!?」
「もうっ、何なのよそれッ!? びっくりしたじゃない!」
虎汰が詳細を話し終える頃には彼女は脱力し、両手を床に付いて項垂れていた。
どうやら本気で虎汰が私に襲い掛かったと思い込んでいたようだ。
「虎子ちゃん、ごめんね?」
彼女にスゴく心配を掛けてしまったと私は深く反省する。
ショボンと落ち込みながら顔を覗き込めば、肩を引き寄せられてむぎゅ~っと抱き締められた。
「チィが謝る事じゃないわ!私が勝手に早とちりしただけだもの。でも気を付けてよ?周りは発情期真っ只中のヤローばっかなんだから!」
「う、うん?わかっ――い、いひゃいお?虎子ひゃん」訳(い、痛いよ?虎子ちゃん)
「絶対アンタ、私が言った事わかってないでしょ?」
彼女の忠告に素直に頷こうとしたら何故か両頬を思いっきりツネられた。
理由を尋ねても虎子ちゃんは教えてくれず、ボソッと“お子ちゃまにはまだムリかぁ…”って呟いてまた項垂れてしまう。
首を傾げながら痛む両頬を己の掌でスリスリしていると、後ろから煌騎が私の両脇に手を滑り込ませて軽々と抱き上げた。
「いい子で待ってろって言ったのにな……」
「あ、煌騎!お帰りなさい♪もう大事なお話は終わったの?」
今更ながら煌騎の存在を思い出した私は嬉しさのあまり、彼が苦笑いで何事かを呟いたのにも気づかず尻尾を振る勢いで首元に抱きつく。
虎子ちゃんには直ぐさま“言った傍から!”と眉間に皺を寄せられたが、彼女が何を心配しているのかわからなかったので気にしない事にした。
だって煌騎は私が嫌がる事はしないもの……。
まぁ時々思い出したように不意打ちのチュウはされるけどイヤじゃないから…いいよね?
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