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聞けば和之さんの母方の家は代々、法律関係のお仕事に属する者を多く輩出した家柄で、彼も例外に漏れなく将来を期待された重圧を生まれながらに背負っているらしい。
だけどそんな彼にも一人だけ味方する者がいて、父方の祖父が高校を卒業するまでの自由を確保してくれていた。
その祖父も最近ではあまり体調が思わしくないらしいので、普段なら無視する招集も今回は従う事にしたのだとか……。
私は和之さんが複雑な家庭環境にいると知って少し落ち込んでしまった。
いつも周りに気を配って何かと世話を焼いてくれる彼に、そんな仄暗い家の事情があったなんて……。
暗い顔をする私に煌騎は頭を撫でる手を強め、くしゃくしゃと前髪を乱す。
「これは和之自身の問題だ。お前が気に病む事じゃない」
「うん、そう…だね……」
彼の言葉に素直に頷き、でもこっそりとバレないように私は溜息を吐いていた。
煌騎は元気づけようとしてくれたのだろう。
けれど守られているばかりの自分は彼を心配する資格すらないのだと、そう言われているような気がして更に落ち込んでしまったのだ。
実際には彼がそんな事を思っている筈はないのに、マイナス思考にとり憑かれた私はその考えが止まらない。
そんな風に思い悩んでいるとは露にも思わない煌騎は、既に別の話題を話す虎汰に耳を傾けている。
顔を上げればもう時期テスト週間だとか、テスト勉強はキライ、頭が痛いだとか虎汰一人がギャアギャアと騒いでいた。
おそらく虎汰も元気がなくなった私の為に無理にはしゃいでいるに違いない。
その証拠に煌騎や虎子ちゃんも彼をバカにしたりからかう割に、穏やかで見守るような眼差しを静かに向けていた。
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