無知であるがゆえの過ち…

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. 「―――煌騎ッ!? そっちにチィいたか!?」 隣に立つ虎子ちゃんに頭をいい子いい子して貰っていると、後ろの廊下から虎汰が転げるように走ってきた。 けれど既に私が煌騎の腕の中にいるのを目撃すると、力なくその場にヘナヘナと崩れ落ちる。 「良かったぁ~、もうどこ探してもいないから『奴ら』に連れ去られたのかと思ったよぉっ」 「……あっ、そっか。ごめん…なさい、虎汰。それから煌騎も、いっぱい探してくれたんでしょ?本当にごめんなさい」 虎汰のあまりの憔悴ブリに申し訳ないという気持ちが増し、二人にペコリと頭を下げた。 私が狙われているのは何も亜也斗だけじゃない。 育ての父も私を探しているのだ……。 それに亜也斗の言う事が正しければもう居場所は特定されている。 言い知れない不安に見舞われ俯いたままでいると、煌騎に大きな掌で頭をガシガシと撫でられた。 「大丈夫だ、俺が守ってやる。だから何があっても傍を離れるな」 “いいな?”と顔を覗かれて私は躊躇いがちにコクンと頷く。 でも本当にこのまま彼に頼ってていいのだろうかと時々不安になる。 初めて彼らと出会った日の夜、優子さんのお店で話していた皆の会話が頭に浮かぶ。 あの時はお腹がいっぱいになって一瞬だけ眠りに落ちたけど、本当は少し目が覚めていたのだ。 そして偶然にも育ての父の正体を一部だが知ってしまう。 .
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