1036人が本棚に入れています
本棚に追加
/325ページ
.
音の正体は隣に立つ朔夜さんのスマホと直ぐに判明……。
彼は緩慢な動作でズボンの左ポケットからソレを取り出すと、“誰だろう？”と首を傾げながら画面をタッチして左耳に当てた。
「はい……あぁ、俺だ。どうした、和之。お前が電話してくるなんて珍しいな…、えっ？あぁ、煌騎は今いないが……」
「なぁんだ、和之かよ。見回りに出てる流星かと思ってちょっと焦っちゃったじゃんかよ……」
どうやら電話の相手は和之さんだったらしく、朔夜さんの表情が一瞬だけど柔らかく緩む。
それに安堵した虎汰は即座に興味をなくし、一気に高まった緊張を解こうとした。
けれど何か様子がおかしい。スマホを握る彼の顔色がみるみる青くなっていく。
何かあったと瞬時に悟った虎汰はまた身を乗り出して聞き耳を立てた。
「なん…だって!?……流星が、何者かに刺されたっ!?」
「―――えっ!? 」
朔夜さんの口から紡がれた言葉は信じられないものだった。
.
最初のコメントを投稿しよう！