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チクチクチク……
静かに時だけが過ぎていく。
いつもあれだげ賑やかだったリビングも、今は二人以外誰も居らずしんと静まり返ったままで寂しさを感じさせる。
私も朔夜さんも言葉を一言も発せず、とりあえずソファに腰を落ち着けて寄り添った。
―――嫌な胸騒ぎがする。まだ何かが起こるような気がしてならないのはどうして……?
不安で胸が押し潰されそうになるが、取り乱したところで皆に迷惑を掛けるだけだと私は必死に己に言い聞かせていた。
とその時、
ガシャンッ!!
下の階で大きな物音が響く。
それと同時にたくさんの男の人の雄叫びと怒声が聞こえた。
突然の事に驚いて私は直ぐさま俯いていた顔を上げると隣の朔夜さんを見上げる。
「―――ちっ、やっぱり狙いはこっちか……」
そう言って彼は顔を顰めると立ち上がり、私の腕を掴むと引き摺るようにして歩き出す。
そして寝室の扉を開け放ち、そこへ投げ込むように私を部屋に押し込んだ。
「チィはそこにいろ!扉を閉めたらカギを掛けて俺がいいと言うまで絶対に出てくるな!! いいな!?」
「え……あ、うん。でも……」
戸惑う内に朔夜さんは部屋を出ていってしまった。
それから声を張り上げて早くカギを閉めろと外から指示を出す。
何のことがわからなかったが怒鳴られた条件反射で私は言われた通り扉の施錠をした。
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