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胸の鼓動が激しく鳴る。
これから何が起こるのかわからない恐怖と、窓がない暗闇の部屋の圧に呑まれて呼吸がままならない。
私を一人にしないでと叫びたいのに喉が萎縮して声にはならなかった。
胸元をぎゅっと握り締めながら呆然とその場に立っていたが、何気に振り返った背後が怖くて奥の隅に蹲る。
(……煌騎、怖い…よぉ。ねぇ、今何が起こってるの!?……助けてよ……煌騎ッ!!)
何も縋るものがない為に私は自分の腕を掻き毟るように抱き締める。
力の加減ができなくて己の爪で自身を傷付けていたがそれにも気づかなかった。
ブルブルと震えが止まらず心の中で懸命に煌騎の名を呼ぶ。
(……煌騎、どこいっちゃったの…?もう私のこといらなくなっちゃった!? 私…何もできないから!?)
ポロポロと涙を流し、自分の何がいけなかったのかを探した。
でもそんなの、いっぱいある。
だから自分は捨てられたのだと思った。
極限状態に陥った思考回路は支離滅裂で、人はあり得ない事まで考えてしまう。
その事を知らない私は絶望感で打ち拉がれていた。が、――暫くして…
バァアアンッ!!
外のドアが強引に開く。
それと共に複数の足音が室内に侵入し、その中から見知った声も隣の部屋から聞こえてきた。
「あれあれ~!?お姫さまを浚いにきたのに肝心の姫がいないじゃ~ん♪」
あの声は常盤 亜也斗だ。途端に冷たい汗が背筋を流れる。
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