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「亜也斗どういうつもりだっ、こんな事してタダで済むと思っ―――…」
―――バタアアアアァンッ!!
「~~~ッ!?きゃうっ!?」
朔夜が声を発している途中、この部屋唯一の出入口であるドアに何かがぶつかり、私は思わず悲鳴を挙げた。
ドアは鉄製なので破られる事は決してない。
でも硬いものがぶつかったようではなさそうで私の恐怖心をますます煽る。
ふるふる震えながら部屋の隅に蹲り外の様子を窺っていると、ドアの外側から朔夜さんの荒い呻き声が聞こえた。
そこで初めて鉄扉にぶつかったのが彼だったのだと知る。
「朔夜さ…ん、どしたの!? ダ…ダイジョブ?」
「―――来るな、チィッ!くっ、俺がイイと言うまでっ…ハァハァ…絶対にここを開けるなっ!! 」
心配になり扉へ近づこうとすると声を張り上げて朔夜に遮られた。
けれどその声を聞く限り、かなり無理をしているのは丸わかりだ。
どうしようどうしようと懸命に考えるのに、バカな私は何の知恵も思い浮かばない。
そうこうしてる間に隣の部屋にはたくさんの男がなだれ込んでいた。
もう私たちには逃げ場がない。
「ねぇおチビちゃん、ソコにいるんだろ?さっさと出てきなよ、でないとコイツがどうなっても知らないよぉ?」
「―――グッ!…がはぁっ!? 」
亜也斗の声と共に誰かが殴られ、蹴られる痛ましい音が扉の向こうから聞こえる。
見えない事でより恐怖を誘い、私は瞬く間に青褪めた。
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