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大地は興奮しながら説明するので話す内容は支離滅裂でメチャクチャだ。
だが辛抱強く質疑応答を繰り返して大体の経緯は把握できた。
吉良は始め味方として近づき、油断したところで流星を後ろから刺したらしい。
俺たちは数日前からある疑惑の真相を確かめる為、交代で市街を巡回していた……。
そして運良く今日流星が襲撃犯と遭遇し、思惑通りサラリーマンをボコッていた連中が蛇黒のメンバーだったと確認が取れた。
だが途中吉良が乱入し、自身のチームの事だからと後始末を買って出たのでまんまと騙されたのだ。
「あんのっ、バカがッ!! だから奴は信用するなと言ったのに……」
「本当にスミマセンッ!! 俺も奴のコト、信用しきってて油断してましたっ!!」
勢い良く頭を下げる大地に俺は冷ややかな目を向ける。が、腹立たしいけれど起きてしまった事は仕方がない。
頭を切り替えて迅速に策を練らなければならなかったからだ。
――これには何か絶対に裏がある……。
そう思えてならなかった。
「………ところでチィさんは今、どなたが見ているんですか?確か今日は白銀さん、鷲塚の屋敷に呼ばれているんですよね?」
「………な…にっ!?……そんな話…俺は聞いてなっ――そうか、そういう事だったんだッ!!!」
やっと見えない糸が見えてきて愕然とする。
吉良は始めから何かを企み、虎視眈々と機会を窺っていたのだ。
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