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奴の狙いは十中八九チィで間違いないだろう。
彼女から亜也斗を遠ざける事でチーム内での信頼を得、こちらの内情も手に入れていた節がある。
―――なら今夜が絶好の機会なわけだ……。
大地の話が本当なら煌騎はいま不在中で、見回りをしていた流星を病院送りにする事で虎汰も簡単に排除できた。
そして俺が実家に呼び出されている事を事前にリサーチしていたなら……。
そこまで考えてハッとする。いま溜まり場にいるのはチィと朔夜だけだッ!!
外壁はチーム随一の武闘派が固めているが、亜也斗も動いているならあまり意味がない。
「―――大地、人を集めろッ!! 掻き集められるだけ掻き集めて、いつでも動けるようにしておけッ!!!」
「は、はいっ!わかりましたッ!!」
俺の醸し出す空気で伝わったのか、大地は緊迫した面持ちで返事をすると慌ててその場から立ち去り、夜の街へと消えていった。
その姿を見送る間もなく俺も次に動き出す。
先ずは煌騎にこの事態を報告しなければならない。――が、今あいつが鷲塚の屋敷にいるのならちょっとやそっとじゃ連絡は取れないだろう。
ケータイは外部と遮断する為に取り上げられているだろうし、また同じ理由で屋敷に連絡しても取り次いでは貰えないからだ。
―――だが、手ならまだ他にもある……。
ニヤリと笑うと俺はある小道具を用意しに、鷲塚の屋敷がある方向とは逆の道に脚を進めた。
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